機能性表示食品の届け出に必要な「別紙様式」とは何か

サプリ3

「機能性表示食品」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。機能性表示食品の制度は、その食品を摂取することで、内臓脂肪を減らすことができたり、血糖値の上昇をおだやかにしたりできるというような食品の「機能性」を分かりやすく表示し、消費者に伝えるための国の制度です。

ここでは、機能性表示食品の表示をするために必要な国への届出の方法や注意点などについて、ご説明します。

『プロバイオティクスの機能性表示食品と特定保健用食品』

機能性表示食品とは何か

通常、一般の食品は、その食品の摂取が健康の維持及び増進に役立つというような「機能性」を表示することができないこととなっています。「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などの機能性を表示するためには、国の定めたルールに沿って、一定要件を満たしたものや、許可を受けたもの、届出を行ったものでなければならないこととされており、そうした手続きによって機能性を表示できるのが、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養補助食品」「機能性表示食品」の3つです。

そのうちの機能性表示食品とは、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたもの」とされています。これは、「トクホ」と呼ばれる特定保健用食品とは違って、販売前に届出を行えば、国の許可を受けなくても機能性を表示して販売することができるものです。

この点で、特定保健用食品に比べれば、それほどハードルは高くないとも言えるでしょう。昨今、健康への関心の高まりにより、こうした機能性を判断基準の一つとして食品を選ぶ消費者が増えており、事業者は、「機能性表示食品」の表示を行うことで、そうした消費者に対し、自社製品の良さをアピールをする機会を得ることができます。

販売する食品に、科学的根拠のある機能性があると認められる場合は、機能性表示食品の制度を活用してみるのも良いかもしれません。

機能性表示食品の特徴と事業者の責任

機能性表示食品の大きな特徴は、特定保健用食品(トクホ)とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行わないという点です。しかし、だからと言って、事業者が「これは体にいいんだ」と主張すれば何でも良いかというと、当然そんなことはありません。

国が審査を行わないからこそ、届出を行う事業者が一定の責任を負うことになっています。まず、事業者には、科学的根拠に基づいた正しい表示を行う責任があります。特に、機能性については、「臨床試験」または「研究レビュー(システマティックレビュー)」のいずれかによって科学的根拠を説明しなくてはなりません。

「臨床試験」は、特定の食品の摂取が人間の健康状態等に及ぼす影響について評価するために行う実験的研究方法です。「研究レビュー」は、一定のルールに基づいて論文や文献等を収集し、総合的に評価する手法です。いずれも、専門性の高い方法になりますので、こうした科学的根拠の実証は、第三者機関などに委託してもよいこととなっています。

ただし、科学的根拠の内容と説明に関する責任を負うのは、委託先の第三者機関ではなく、あくまでも届出を行う事業者です。

また、機能性の表示にあたっては、根拠さえあればどんな風に表示してもいいというわけではなく、当然、消費者の誤解を招くような情報提供を行ってはなりません。届出や容器、商品パッケージへに機能性を表示する際は、食品表示法に基づく食品表示基準や、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」などのルールに従う必要があります。

具体的には、事業者の連絡先、摂取の方法、摂取上の注意喚起事項、機能性に関与する成分が一日当たりの摂取目安量当たりどの程度含まれているかということなど、必要な事項が定められているので、これらのルールに従って表示することとなります。

機能性表示食品の対象とならない食品

機能性表示食品は、原則として、生鮮食品を含むすべての食品が対象となります。ただし、いくつか対象外とされている食品があります。例えば、病気にかかっている人や、妊産婦、妊娠を計画している人、授乳中の人など、栄養学的に特別な配慮が必要な人のために開発された食品は、異なる制度で許可が必要であるため、機能性表示食品の対象にはなりません。

同様の理由で、特別用途食品や栄養機能食品、機能性関与成分が厚生労働大臣が定める食事摂取基準に定められた栄養素である食品も、機能性表示食品として取り扱うことはできません。また、当然のことではありますが、機能性関与成分が明確でない食品や、アルコール飲料、脂質等の過剰な摂取につながる食品も、機能性表示食品の対象となりません。国の審査がないと言っても、こうした対象とならない食品については、届出を行っても受理されない可能性が高いので、注意が必要です

機能性表示食品として販売するために必要な手続き

サプリ10

機能性表示食品の届出は、全て「機能性表示食品制度届出データベース」という国のシステムの画面上で行います。届出のおおまかな流れは、まずガイドラインやマニュアルを読み、システムのユーザーID を取得して、事業者基本情報を届け出て、その後に食品の届け出を行う、という順で行います。

販売を予定する日の60日前までに、届出書と関連する資料を不備なく消費者庁長官に届け出る必要があるので、注意しましょう。届出に形式上の不備があれば差し戻されるので、修正して再提出することになりますが、不備がなければ、消費者庁のウェブサイトで届け出られた情報が公開され、届出番号が表示された商品の販売を行うことができるようになります。

機能性表示食品の届出を検討されている事業者の方は、まず、消費者庁のホームページから「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」や食品表示基準などを確認するとよいでしょう。

機能性表示食品の届出に必要な「別紙様式」

機能性表示食品の届出に当たっては、その食品に関する表示の内容、事業者の基本情報、安全性及び機能性の根拠についての情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報、健康被害の情報収集体制などについて、必要な資料をそろえ、消費者庁長官に届け出なければなりません。

これらの内容は、「機能性表示食品制度届出データベース」の画面上での入力と、電子ファイル(エクセル、ワード)の添付により、提出することとなっています。しかし、入力する内容は多岐にわたるので、初めて画面を開いて、その場でどんどん入力していくのは通常困難です。

このため、消費者庁のホームページでは、データベース画面上で入力する届出の内容を「別紙様式1、(1)~(7)」として、ワードファイルで公開しています。

ですから、届出を行う場合は、まずこの「別紙様式」をダウンロードし、そこに必要な情報をあらかじめ記入しておくなどの準備をした上で、データの入力を行うとスムーズです。また、機能性表示食品の販売を検討中である事業者の方も、届出を行うとしたらどのような情報が必要なのかを知るために、消費者庁のホームページにある「別紙様式」のファイルを自社のパソコンに保存してみて、実際の届出の内容を確認してみるとよいでしょう。

なお、届出の際に必要な添付資料も、【添付ファイル用】として、消費者庁のホームページに公開されているので、必要に応じてダウンロードして、使用することができます。

健康への関心の高まりと機能性表示食品の制度の活用

機能性表示食品の販売には、国の審査が必要ないため、比較的容易に行うことができます。健康の維持や増進に関する意識が高まる中、消費者が食品を選ぶ際の志向が変化してきており、「機能性表示食品」の役割がさらに増していくことも予想されます。

国の制度を活用して、科学的根拠に基づく食品の安全性や機能性を積極的にアピールすることが、消費者と事業者の双方にとって、よりよい結果につながっていくのではないでしょうか。